変形性膝関節症とは何か?その痛みの仕組みと症状
膝が痛いと感じることはありませんか? 中高年になると膝の痛みを感じる人が増えます。そのほとんどが、変形性膝関節症といわれる病気です。変形性膝関節症とはどのような病気で、どのような症状が起こるのでしょうか。
変形性膝関節症の症状は一気に現れず、何年にもわたって少しずつ進行していくのが特徴です。変形性膝関節症の症状について、段階を追って解説します。
膝を曲げると痛い変形性膝関節症とは
変形性膝関節症の仕組みと膝に水が溜まる原因
変形性膝関節症とは、関節のクッションである軟骨が、加齢や筋肉量の低下などによりすり減って、痛みが生じる病気です。軟骨がすり減った分、膝関節の骨と骨のすき間が狭くなって内側の骨があらわになり、骨のへりにトゲのような突起物ができたり、骨が変形したりします。また、関節をおおっている関節包(かんせつほう)と呼ばれる繊維膜の内側に炎症が起こるため、黄色味がかった粘り気のある液体が分泌され、いわゆる「膝に水がたまった」状態になります。
変形性膝関節症が進行する仕組み

膝関節の仕組み

自力でできる運動療法とは?
運動療法とは、運動によって疾患や機能障害の改善、回復を図る方法です。糖尿病の運動療法や脳卒中後のリハビリテーションなどが知られています。
運動療法に期待できる効果として、次のようなものが挙げられます。
- ・痛みによって緊張した筋肉をほぐす
- ・痛みや緊張で拘縮した関節の可動域を拡大する
- ・血行を促進させる
- ・痛みをきっかけに低下した筋力を向上させる
- ・運動機能を回復させる
変形性膝関節症を自分で治す2つのトレーニング方法
- 変形性膝関節症が進行すると、痛みで足を動かさなくなるので、膝の周りの筋力が落ちて、関節の安定性が悪くなります。すると、ますます膝に負担がかかって痛みが強くなるという悪循環に陥りがちです。この負のスパイラルを断ち切るためには、膝の周りの筋肉を鍛えて、膝の負担を軽減する必要があります。
運動療法は、変形性膝関節症をはじめとする膝痛の改善に効果的です。ウォーキングなどの有酸素運動や簡単な筋トレ、ストレッチなどを取り入れて、運動習慣を身につけましょう。ただし、運動療法のやりすぎはよくありません。激しい運動は、症状を悪化させる場合があります。無理のないよう、医師や理学療法士と相談しながら行いましょう。ここでは、自宅で簡単にできる運動療法をご紹介します。
膝の動きを支える太もものトレーニング
- 背もたれのある椅子に深く腰掛けます
- 片足をゆっくり水平まで持ち上げます
- 5秒間キープします
- ゆっくりと元に戻します
膝の動きをよくするトレーニング
- 足を伸ばして座り、かかとの下にタオルを置きます
- かかとをゆっくりとお尻に近づけて、できるだけ膝を曲げます
- かかとをゆっくりお尻から遠ざけて、できるだけ膝を伸ばします
変形性膝関節症の薬物療法に対する注意点
変形性膝関節症で処方される薬は、炎症を抑えて痛みを軽くするのが目的で、病気そのものを治すためのものではありません。膝関節にかかる負担を減らすために、毎日の生活習慣を見直して、体重管理と運動習慣の定着に取り組むことが大切です。また、症状が改善したからといって、自己判断で勝手に薬をやめるのは禁物です。医師の指示に従って、正しく服用しましょう。
変形性膝関節症の手術療法
保存療法を2〜3ヵ月続けても効果がなく、さらに膝の痛みや変形が悪化している場合は、手術療法を行います。ここでは、代表的な手術療法をご紹介します。
代表的な変形性膝関節症の手術療法には、①関節鏡視下手術、②高位脛骨骨切り術(こういけいこつこつきりじゅつ)、③人工膝関節置換術の3つの方法があります。それぞれの特徴についてみていきましょう。
①関節鏡視下手術:軽度〜中程度
膝の皮膚の一部を切開して関節鏡を挿入し、軟骨の破片を取り出したり、軟骨の表面をなめらかにしたりするなどの処置を施します。関節鏡を挿入するために皮膚を6㎜ほど2ヵ所切開するだけなので、患者の負担が少ないのがメリットです。入院期間は3日から1週間ほどで、手術の翌日から装具をつけて歩けます。
②高位脛骨骨切り術:軽度〜中程度
膝関節の下にある脛骨の一部をくさび形やアーチ型に切り取って、膝への荷重のかかり方を矯正し、関節にかかる力が均等になるように調整します。特に、脛骨に歪みがある場合に有効な方法です。骨がつくまでに2ヵ月ほどかかるため、その間にリハビリを行う必要があります。回復までに半年ほど要するので、筋力が衰えやすい高齢者にはあまり向いていません。
③人工膝関節置換術:重度
病気がかなり進行して、膝の関節軟骨だけでなく、骨まで破壊されている場合に行う治療です。変形した膝軟骨の表面を薄く削って、人工関節に置き換えます。人工関節は、ステンレスやチタン合金、プラスチック、セラミックなどの材質でできています。手術後は1〜3週間で歩行が可能で、入院期間も1ヵ月ほどで済むため、高齢者にも適しています。術後の違和感も少なく、ショッピングや旅行などを以前のように楽しめるようになるでしょう。人工関節の耐用年数は15〜20年といわれており、寿命がきたら再手術が必要となる場合があります。
どのような手術を選択すべきか
どの手術法も一長一短があるため、どの手術法がベストなのか、一概には言えません。ただ、重症度に応じて、ある程度の目安がつきます。軽度〜中程度の場合は、関節鏡視下手術や高位脛骨骨切り術が選択されるケースが多いようです。重度の場合は、人工膝関節置換術が適しているでしょう。
これはあくまでも目安であり、本人の意思や年齢、生活環境などにより、手術方法は変わってきます。医師の説明を受け、よく理解したうえで、治療法を選ぶようにしましょう。